2018年1月8日月曜日

つま先力

こんにちは!

少し前になりますが、東京学芸大学で行われた日本フットボール学会15th Congressにて、
秋本真吾さんによる「速く走るために」というご講演を拝聴しました。

講演の概要は「つま先を使って走る」ということで、
これまでにも敏しょう性を高めるために指導を受けた選手の皆さんも多いかと思いますが、
何かと理由を付けて、実践しきれていない人もいるのではないでしょうか?

秋本さんの理論もまとめてしまえば、それほど新しいことではないのですが、
シンプルだからこそ確実に効果があり、近い将来に劇的なイノベーションがあると考えられます。

今回は、ワタクシなりに理解したことをまとめてみます。

まず、キーワードとなるのは「踵(かかと)」です。

けものを意識できるか?

Wikipediaによると、ほとんどの哺乳類は踵を付けずに歩行します(趾行というそうです)。追記:(蹄行といって、ひづめで歩行する場合もつま先立ちですね)
人間(やアライグマ)は二足歩行をするために、長い年月をかけて踵をつけて歩く(蹠行)ようになり、
そのために疾走速度を失ったと考えられます。

従いまして、速く走りたければ踵をつけるな(以下、つま先力としましょう)ということになります。
理想的な走り方は、人類最速のウサイン・ボルトの走りで、
つま先力を使うのは言うまでもなく、速さピッチ×ストライド という「掛け算」の走り方が必要のようです。
あとで、長距離走のお話もしますが、ピッチ走法、ストライド走法というのは、速く走るためにはナンセンスなことのようです。

ただし、

学会では映像でも見させていただきましたが、トッププロの槙野選手宇賀神選手
トレーニングのし始めの頃は、正しく筋力を走力に伝達させることができなかったようで、
我々もつま先力をマスターするために相応の努力が必要のようです。

秋本さんの美しい走行姿勢
ここで、なんだ…と諦めてしまうのではなく、つま先力のメリット・デメリットを考えてみましょう。

メリットは、何といっても速く走れる…特に従来は、敏しょう性(アジリティ)が上がることによる効果が挙げられていましたが、走行速度そのものが上がるという話は新しそうです。

デメリットは、走法をマスターするまではかえって遅くなってしまう、疲れる⇒故障が心配といったところでしょうか?

トレーニング(といっても、最初は単につま先立ち歩きをするだけでよいでしょう)を始めてみればわかりますが、
踵を付けるよりも確かに疲れます。しかし、疲れるということは、既に、トレーニングの効果があるということになります♪
言い換えると、普段の生活で1日1万歩を歩くとして、
つま先力的には1時間半ほどのトレーニングをするか、サボってしまうかの差が出ることになります。

マンガ(ドラゴンボール33巻)ですが、
イメージはこんな感じ

秋本さんの理論によれば、つま先力によってスピードだけでなくスタミナも付くということも説明されています。
また、スピードアップについても、槙野選手のように、守備のときの走力についてもつま先力の効果が実証されており、豊田高専サッカー部の弱点克服にも期待が持てます。

次のデメリットとして、疲労が溜まると故障しやすくなるという見解もあるかと思います。
秋本さんのご講演では、Jリーグでのいくつかの「肉離れ」を起こした場面の映像提示がありましたが、
それらのすべての場面が、踵から着地する走法の選手の様子でした。
サッカー選手は多かれ少なかれ、全速走をするときはつま先走りをするはずですが、

つま先力を使う正しい走りでないので疲労が溜まる
人間の本能には抗えず、踵から着地してしまう
ハムストリングやヒラメ筋といった筋肉に過度の負担がかかる
肉離れ発生

という現象が起きていたとのことです。



以上をまとめますと、つま先力をマスターしてしまえば、デメリットはほとんどなく、

  • 速く走れる         (ピッチ×ストライドの掛け算を理解しましょう)
  • スタミナがつく       (日々の生活がトレーニング)
  • ケガ(肉離れ)をしなくなる (このメリットが一番大きいのでは?)

と、一石三鳥の効果がある強力なメソッドのようです。
ただ、硬い土のグラウンドやアスファルト・コンクリートの地面でのトレーニングは、
別の故障を引き起こす危険性がありそうです。
特に、従来の薄底のランニングシューズでは一層危険が高まりそうです!
しかし、この問題は、衝撃を吸収する素材のシューズを履くことができれば、解消されそうですね。



豊田高専サッカー部では、12月26日の練習にて、同じ講演をお聞きになった江崎監督からつま先力の指導がありました。
ちょうど2週間経ちましたが、実践していますか?

厚底よりもつま先力に注目すべき。
個人的にはこちらが好み♪

また、先日の箱根駅伝でもつま先力を取り入れたナイキシューズを採用したチームや選手が大会を席巻しました。
近い将来、マラソンの記録もこの理論、技術によって更新されるのではないでしょうか?

そして、サッカー界においてもつま先力を活かした正しい走り方が流行るのは言うまでもなく、
つま先力を活かせる専用のシューズが開発されるのではないでしょうか?

1 件のコメント:

Nobuyuki ESAKI さんのコメント...

予言通り、早速、男子マラソンで日本記録が出ましたね。ピョンチャンオリンピックの小平選手もつま先荷重ということで、大元の原理は同じなのでしょうね。けもののようかどうかでいえば、この際、つま先力=けものでよいように思います。