2014年2月2日日曜日

(筋持久力と)加圧トレーニング

こんばんは。

前回の記事「筋持久力と加圧トレーニング」の続きです。


少しおさらいしますと、
  • サッカーに必要な持久力には、心肺持久力筋持久力(と精神力)の2つ(3つ)がある。
  • 筋持久力を鍛えるのに、心肺持久力がむしろ妨げになる可能性がある。
  • 筋持久力トレーニングはつらいものである。
といったところでしょうか?今回は、この続きから…


筋持久力トレーニングは、メニューの違いこそあれ、主旨は、「自分の限界を超えた後に、いかに頑張るか」で鍛えることです。しかし、このための工夫がなかなか難しいのです。レイモンド氏やモウリーニョ監督が、


ボールを使わないフィジカルトレーニングを極力減らし

ボールを使ったメニューにフィジカル向上のための要素を取り込む

手法に取り組んでいるのも、大きな視点からすれば、一つの工夫だといえます。
「練習のための練習」という言葉がありますが、

レイモンド氏:ライオンから追われたら、誰でも本気で走るだろ(笑)

モウリーニョ監督:仮にあなたがピアノをうまく弾きたいなら練習でピアノの周りを走るか?


サッカーに必要なフィジカルは、サッカーの中で鍛える…これは、確かに理想です。私たちは、世界トップレベルのフィジカル(+精神力)を持つ選手たちのようにはいきませんが、そのだけは理解しておく必要がありそうです。



では、私たちには、どういう工夫が出来るでしょうか?またしてもレイモンド氏の言葉を借りると、オーバロード・トレーニングは、


「能力の限界を少しだけ超えた、101%の状態で練習する」


ことで効果が発揮されるとのことです。いかがでしょう?101%ならば頑張れると思った人もいれば、100%も無理!という人も、そもそも限界以上の加減なんか出来ないって人もいるでしょう。


そこで、我らが江崎監督推奨の加圧トレーニングです。まず、例によってWikipediaから、

加圧トレーニングとは、腕や脚のつけ根を専用のベルトで締めつけ加圧し、血流量を適切に制限した状態で行うトレーニング法で、発明者であるボディビルダー:佐藤義昭が1966年、法事の席で正座による「脚の痺れと腫れ」にヒントを得て編み出したトレーニング方法である。血流量を制限し、上肢、または下肢に血液を貯留(プーリング)しながらトレーニングを行う事で上下肢内の乳酸濃度が高まる。トレーニング後に専用ベルトを外すと高濃度で溜まっていた乳酸が体内に流れていき、それに脳下垂体が反応する事により、成長ホルモンが分泌されるとしている。

江崎監督から河合キャプテンに渡っている佐藤氏の著書を私も少し読ませていただきましたが、Wikipediaにもある「法事」のネタは少しクスリときますね。本格的な加圧トレーニングの実践は、スキーで大怪我をし、ご自身のジムが経営危機に陥ったときに始めたという、まさに、「怪我の功名」だそうです。


筋持久力トレーニングの危険性の一つに、オーバワークによる故障が挙げられます。人工的に過負荷状態を作り出すこの加圧トレーニングならば、その危険性をほぼ0にまで下げることが期待されます。


ここからは、知的財産権の絡みで、慎重に書かなければならないようですが…
と書いてみたものの、2013年11月22日に加圧トレーニングの特許が切れたので、もう気にしなくて良いみたいです。


江崎監督は、現役時代の古傷(膝)の治療目的で、トレーニングを試してみたそうです。トレーニングの負荷は、むしろ小さいほうが良いと考え、時間のある限りで、カーフレイズ(ウエイトなし)と体幹を、トレーニングできないときは、単に巻いたり外したりを繰り返したそうです。結果は良好で、筋持久力が通常の負荷では考えられないくらい鍛えられたようです(残念ながら、ダイエット効果等の副作用は無かったそうです)。オーバロード・トレーニングの101%の状態を運動負荷を上げることなく作り出すことが出来ることが明白に証明されれば、現在行われているトレーニング方法に劇的な変化をもたらすかもしれませんね。

ただし、無茶をすると(無茶をするようなトレーニングには思えませんが…)ベルトの締めすぎによって血栓が出来、痺れが取れなくなったりするそうです(佐藤氏談)ので、有資格者の指導の下に行う必要があります。トレーニング方法自体の特許が有効だった(20年)間には、裁判沙汰にもなったそうです。

加圧ジャパンホームページへ

あとは、自分たちで考えて工夫してください。専門のスタッフを雇う、もしくは、我々スタッフが資格を取得するのも一つの方策でしょう。



最後にもう一まとめ…

以上より、豊田高専サッカー部においての持久力トレーニングは、

  • 日常的には、コーチに工夫していただいているインターバルトレーニングをこなす(101%を意識して)
  • 試験期間等のオフの自主トレは、ロードワークによって心肺持久力を落とさない(LSD法をこなす時間が取れると良い)
  • 加圧トレーニングによって筋持久力を鍛える(ライバルを出し抜け!)
の3本立てになります。

加圧トレーニングが一般に解禁されたのはつい先日のことです。おそらく、ライバル鹿児島高専もまだ取り組んでいないことでしょう。鹿児島を出し抜くチャンスは、「今でしょ(古?)」ということかもしれません。



1 件のコメント:

Nobuyuki Esaki さんのコメント...

2回に渡り、うまく記事をまとめていただき、ありがとうございます。以前、体育の加藤先生らとともに「豊田高専サッカー部選手の持久力性能」という論文を書きました。手前味噌ながら、当時の結論は今も実践で役立てられると思われます。ただし、「トレーニングはつらいもの」というジレンマからは脱却できていません。
この点を「加圧」で克服できるのならば、チームのパフォーマンスも上がり、我々の業績(私と都築先生の共著論文)も作ることができれば一石二鳥ですね。